理事長挨拶

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一般社団法人日本脈管学会
理事長 重松 宏

 脈管学の定義は、Allen-Barker-Hinesの古典的名著である”Peripheral Vascular Diseases”の中で、”The term peripheral vascular diseases in its broadest sense applies to disease of any of the blood vessels outside the heart and to disease of the lymph vessels.”と述べられており、日本脈管学会は、異なる診療科を含む臨床系、異なる分野を含む基礎系、社会医学系、あるいは科学技術領域などを広く包含して、脈管系に関わる諸問題を討議する場として、我が国で最初に設立された学会であります。その目的は、定款に「脈管学に関する様々な分野の最先端研究を統合し発展させること、その研究成果を社会に還元するためのシステムを作り実施すること、次世代を担う若手研究者を育成することをその目的とし、これらを通じて学術文化および医療の発展に寄与する。」と明確に記載されています。60年近い歴史の中で、日本血管外科学会や日本静脈学会、日本リンパ学会、日本血管内治療学会など多数の学会や研究会が生まれて来ましたが、これらはより専門的な討議を行う場として、深化していったものであります。動静脈やリンパ管は、それぞれに個別の器官ではあっても、統合無くして機能は発揮されず、独立しては存在し得ないものであり、脈管の中で理解していくことの重要性を妨げるものではありません。境界領域が増えていく中で、技術や手法の情報を共有していくことは、研究の無駄を省き技術水準の向上をはかるものであります。
 遺伝子レベルの解析からビッグデータの活用に至るまで、近年の科学技術の進歩は加速度的であり、医学の進歩を凌駕する広がりを見せており、直ちに脈管疾患の研究や診断治療に応用、導入できるものも少なくありません。医工学を始めとした他分野科学技術の紹介や概念の導入も、本学会の重要な課題であります。一方で学会のあり方は、診療報酬への関与や専門医制度の導入、診療ガイドラインの作成、市民公開講座の開催などに象徴されるように、学問的な討議の場としてのみでは無く、社会に開かれた存在として、その意義が問われています。共通する問題に対しては、学会間協力を進めて対応する必要があり、脈管に関する諸問題においては本学会が核となり、その責を果たす必要があります。国際的にも学会間協力は、診断や治療における標準化という観点から広く推し進められており、本学会は我が国のみならずアジアを代表する脈管系学会として、その一翼を担って主導していくことが期待されています。
 統合と分化は対立概念では無く、相互に補完し止揚するものであります。日本脈管学会は今後も脈管系の統合学会として発展していくことが望まれます。

2016年4月1日

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