理事長挨拶
日本脈管学会会員の皆様へ
一般社団法人日本脈管学会 |
この度、2021年10月、札幌での第62回日本脈管学会総会の理事会にて同学会代表理事を拝命いたしました、名古屋大学大学院血管外科の古森公浩です。伝統ある日本脈管学会の理事長を拝命し、身の引き締まる思いであります。
故三島好雄教授によりますと、日本脈管学会は1960年 9 月30日に慶應義塾大学医学部東校舎講堂で設立総会が開催され発足いたしました.設立趣意書には「脈管系の研究は解剖学・生理学・薬理学・病理学・内科学・外科学・皮膚科学・整形外科学・その他の分野ごとに行われ,各研究者間の連絡はほとんどない現状であり、またその研究成績はそれぞれの学会機関誌に発表され,どの研究者も脈管学全般の進歩を通観することが甚だ困難である.これでは個々の研究は他の研究部門の現状を知らないで独走し,独善に陥る危険がある.このような状態を憂える臨床医学,基礎医学両方面の脈管学研究者が互いに密接に接触して研究の進歩を計ろうというのが学会設立の趣旨である。」と述べられています。
私が初めて本学会に参加させて頂いたのは1989年に京都で開催された第30回の総会であり、それ以来30年以上、本学会に参加し脈管学の基礎と臨床を学ばさせて頂きました。また学会での役職としては1993年に評議員、2005年からは理事を拝命し、2018年には名古屋で第58回日本脈管学会総会を開催させて頂きました。
この学会の特色として、私の専門の外科領域、血管外科分野だけではなく,専門外の内科分野、放射線科分野、そして基礎分野などさまざまな情報が得られることができる点が挙げられ、他の学会とは異なる横断的な学会として、大事な役割がある学会ではないかと思っています。実際、現在も設立の趣旨は引き継がれており、学会理事も基礎系、内科系、放射線科系、外科系の理事で構成されており、総会の会長も当然のことながらそれぞれの分野の会長が、偏りなく主催されています。
また、既にある優秀演題の表彰Japanese College of Angiology Award(JCAA)に加えて、来年2022度からは若手研究者を表彰する目的の“高安右人賞”が設立されますが、このような賞が若手研究者の登竜門になるように育てていかなければならないと考えています。更には、本学会と外国の学会との国際交流、脈管専門医制度の今後のあり方など、立ち向かわなければならない課題もありますが、会員の皆様のご協力を賜りながら解決していきたいと思っています。
本学会の設立当時からの目的である、基礎系の研究者、そして循環器、放射線科、外科など臨床系の研究者が一同に会して脈管学研究の発展に寄与できるような学会へと益々発展するように微力ながら努力していきたいと思っています。会員の皆様のご協力を何卒よろしくお願い申し上げます。