第46回脈管学会総会

第46回日本脈管学会総会 開催のご挨拶
会 長
中野  赳


 2005年12月 1 日(木),2 日(金),3 日(土)の 3 日間,大阪国際交流センターにおいて第46回日本脈管学会総会を開催させていただきます。教室員一同にとりましてたいへん名誉なことであり,この機会を与えていただきました矢崎義雄理事長をはじめ,関係各位に心から御礼申し上げます。

 私が学会なるものに参加するようになった頃,すなわち昭和40年代後半,日本脈管学会は日本循環器学会と並んで循環器系の中心的な学会でした。無論,当時から日本循環器学会よりは若干外科色が濃く,内科医である私にとってはたいへん新鮮なものでした。 急速な高齢化を迎える今世紀,脳卒中,心臓病,悪性腫瘍などがこれまで以上に増加すると予想されます。とりわけ生活習慣病やそれを基盤とする動脈硬化症は国内外での患者数が急増し,脈管学の重要性はますます高まって参りました。
 ところで,最近の脈管学は,基礎医学では分子病態学の進歩があり,診断学では画像診断が飛躍的に発展し,さらに治療においても血管内治療や再生医療などの著しい進歩が見られます。一方で,各部門が独立し,細分化された学会や研究会にもその限界が見え始めており,基礎から診断・治療までを,脈管学として共通の場で討論することの必要性を強く感じております。
 本学会総会は,メインテーマを「We shall return to “脈管学”」といたしました。第一線で研究,臨床に活躍されている若い人を中心とし,一つの病態を「脈管学」の観点から徹底的に討論させていただきます。脈管学としての面白さ,奥深さが実感できる学術集会にしたいと考えている次第です。
 2001年11月19日の真夜中に大出現した獅子座流星群は朝の光が射す頃まで続き,夜空を彩る天体ショーに酔いしれました。その光景に,赤と青の脈管にいよいよ光が射してきた,いや射してくるとの思いが湧き上がり,異色ながらこの記憶を背景にポスターを作製しました。
46回総会

 今回の学会総会では,一般演題,徹底討論,シンポジウムを併せて341題の研究成果をご発表いただきます。学術集会の中心となる一般演題は全演題を口述として十分な討論時間を設けました。また,シンポジウム 3 テーマ,徹底討論12テーマ,教育講演 8 テーマを企画いたしました。シンポジウムには,再生医療,画像診断,閉塞性動脈硬化症と現在の脈管診療における中心的課題を取り上げました。各々のテーマにおいて最先端の議論が交わされるものと期待いたします。新たな試みである徹底討論では,座長・キーノートレクチャー講師を交えて,各問題を徹底的に討論していただきます。テーマごとに最も注目を集めた演題を,徹底討論 最優秀賞として表彰いたします。教育講演には臨床に直結する話題を多くお願いいたしました。早朝からのセッションもございますが,是非多くの先生方にご聴講いただきたいと存じます。
 西丸記念講演には,エンドセリンやオレキシの発見者で世界のトップ研究者の一人である大学の柳沢正史先生をお招きいたしました。また,招請講演では,近年わが国でも急速に普及した静脈血栓塞栓症の予防に関してHeidelberg大学のHolger Lawall先生にお話しいただき,またColumbia大学のK. Craig Kent先生には末梢血管の内膜増殖に関する問題を基礎的な知見も交えてお話しいただきます。さらに,特別講演として日経BP社バイオセンターの宮田 満先生に,バイオビジネスに関する最近の話題をご講演いただきます。
 学会第 3 日目は,日本リンパ学会との共催でリンパ浮腫の診療に関する市民公開講座を開催いたします。リンパ浮腫に関する社会的な理解がより深まることを期待しております。

 学術集会会場は三重の地を離れて大阪といたしました。師走の忘年会シーズンに入る直前ではございますが,学会の合間には活気あふれる大阪の街を楽しんでいただけると思います。多くの皆様のご参加を得て,本学術集会が実り多きものとなることを心より祈念いたしております。

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