第44回脈管学会総会

第 44 回日本脈管学会総会開催に当たって
会 頭
居石 克夫


 この度,第 44 回日本脈管学会総会を“新たなる脈管学への挑戦”をメインテーマに,平成 15 年 11 月 6 日(木)~11 月 8 日(土)の 3 日間,福岡市のアクロス福岡において開催致します。学会第 1 ならびに 2 日目を総会プログラムに,また会期中ならびに第 3 日を学会併設研究会と市民公開シンポジウムに当てた日程としています。
 今世紀,我国は急速に高齢化社会を迎え,脳卒中,心臓病,悪性腫瘍などの成人病が死因の 2/3 を超えることが予想されています。とりわけ生活習慣病(とくに糖尿病,肥満,高脂血症,高血圧)およびそれを基盤として発症する動脈硬化症(脳・心筋梗塞,大動脈瘤,下肢閉塞性動脈硬化症など)は国内外で患者数が急増し,先進国の死因の第一位を占めるとともに QOL を著しく悪化させる疾患として問題となっています(WHO Report,2002)。
 日本脈管学会は,これまで動脈硬化のみならず血管炎,リンパ管病などの脈管病を対象に個別的,総合的に研究する専門家の学術集会として医学的,社会的に多大な貢献を果たしてきました。本総会では,これら疾患の基礎的・臨床的研究に加えて,その病態発生の基礎となる生活習慣病(多因子疾患)に関するゲノム,細胞,個体,集団レベルでの研究成果の学術交流と研究者間の親睦を図り,新たな脈管学の発展を促進することを目的に総会を開催いたします。具体的なプログラムとして,一般演題(約 220 題)を中心に,会頭講演に加えて,西丸記念講演(松尾壽之 宮崎医科大学学長),特別講演( 2 題:高久史麿 自治医科大学学長,北 徹 京都大学教授),招請講演( 2 題:Thomas N. Wight 教授,The Hope Heart Institute,USA,Stephen E. Epstein 教授,The Washington Hospital Center,USA)ならびに教育講演( 6 題),シンポジウム(イブニングシンポジウム含めて 8 題)など国内外の基礎,臨床のリーダーを交えて,遺伝子治療や再生医療を包含した今世紀の脈管学研究を展望して頂くとともに,診療におけるコンセンサス形成を目指した斬新な企画を予定しています。日本動脈硬化学会,日本血栓止血学会,日本循環器学会などの関連学会から多くの講師を招待し,本学会の特徴を発展させるとともに日本における脈管病を対象にした関連学会の有機的連携を深めたいと願っています。さらに我国の脈管学における若手研究者の育成を目的に新たにYoung Investigators Award を新設して,優れた研究報告者を学会が顕彰することも予定しています。
 さらに,会期中に三つの脈管学会併設研究会と一つのサテライトシンポジウムを,また,第 5 回リンパ浮腫市民公開シンポジウム「もっと知って! リンパ浮腫」を日本静脈学会,日本リンパ学会と本学会との共催で開催することにしています。市民の皆様に気軽に参加して頂き,この分野における基礎,臨床の第一線の研究者と活発な討論をして頂く予定にしています。
 以上の企画により得られる学術成果は,この分野における国内外の医学的のみならず社会的福祉の向上に貢献すること大であると確信しています。
 11 月初旬の福岡は,観光,食べ歩きにも最適の季節です。こぞってご参加頂き,研究とともに心身の英気も養って頂ければと心より願っています。

謹白

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